子供さんが学校などで水泳の授業を受けていると思いますが、近年小学校・中学校・高校でも授業中の事故で身体に損傷を負うケース、死亡に至ったケースのニュースを目にされたことは無いでしょうか。
授業での水泳指導はどのように行われているのでしょうか。
平成28年に仙台の高校生が亡くなった事故です。今年も幾つか事故が起きています。
2016年8月26日 河北新報より
<プール高2重体>授業中溺れ水底で発見>
25日午前11時40分ごろ、仙台市青葉区落合4丁目の宮城広瀬高(生徒831人)のプールで、2年生の男子生徒(17)が授業中に溺れ、意識不明の重体となった。仙台北署は事故と事件の両面で調べている。
同署によると、プールは長さ25メートル、幅16メートルで、深さは1.2~1.4メートル。生徒はプール中央付近の水底にあおむけの状態で見つかった。教師と別の生徒が引き上げたが既に意識はなく、市内の病院に搬送された。
同校によると、当時は3時間目の授業中で、男子生徒23人と体育担当の男性教諭1人がプールに入り、水球をしていた。教諭や生徒は「溺れた瞬間は見ていない」と話しているという。
浅野雅子校長は取材に「溺れた生徒から体調不良や持病の報告はなかった。原因は分からないが、事故の可能性が高いと思う。このような事態になり、大変申し訳ない」と話した。同校は当面、プールの授業を中止し、原因の特定を急ぐ。
県教委は同日、県内の全公立小中高校に通知を出し、プールでの安全管理の徹底を求めた。私立校や仙台市教委にも同様の対応を取るよう呼び掛けた。
東京都内の高校で起こったプールの飛び込みで起きた骨折事故です
2016年9月27日 東京新聞より
<墨田工業高の水泳授業で生徒が首骨折 教諭が飛び込み指示>
東京都立墨田工業高校(江東区)で七月、水泳の授業中に三年生の男子生徒(18)がプールに飛び込んだ際、底で頭を打って首の骨を折る大けがをしたことが東京都教育委員会への取材で分かった。生徒は現在も入院中で、胸から下がまひした状態という。
都教委によると、事故は七月十四日午前十時ごろに発生。保健体育の男性教諭(43)がスタート位置から一メートル離れたプールサイドで、足元から高さ約1メートルの水面上にデッキブラシの柄を横に掲げ、生徒に柄を越えて飛び込むよう指示。生徒は指示通り飛び込み、水深1.1メートルのプールの底に頭を打ち付け、救急搬送された。
生徒は一、二年時に授業で飛び込みを経験したことがなく、三年で飛び込みの練習を始め、この日が五回目の授業だった。
プールは満水時は約一・二メートルの深さになる構造だが、学校側は「注水に時間がかかる」との理由で、水を減らしていた。
教諭は都教委の事情聴取に「危険な行為をしてしまった」と話したという。都教委側は取材に「水深が浅いプールで指導をした上に、生徒の習熟度に応じた授業を行っていなかった。不適切だった」と認め、教諭の処分を検討している。
日本スポーツ振興センターによると、2005~2014年の十年間、全国の小中高校でのプールの飛び込み事故で後遺症があったケースは33件。うち約九割に当たる二十九件は、プールの底で頭や首を打っていた。文部科学省は一二年度から小中学校の授業では飛び込みを禁止したが、高校の授業については禁止せず、段階的に指導するよう定めている。
学校事故に詳しい名古屋大の内田良准教授(教育社会学)は「文科省は高校の授業でも飛び込みを禁止すべきだ」と訴えている。
事故後の検討会議の結果、以下の取り決めが2017年から施行される予定
水泳授業等における「スタート」の取扱いについて
平成28年7月14日、都立高等学校の体育の水泳授業において、男子生徒が飛び込みによる「スタート」を行った際、水底に頭部を強打して頸椎を骨折し、頸髄を損傷する重大事故が発生しました。
この事故を受け、東京都教育委員会は、事故防止の徹底について通知するとともに、学識経験者や学校関係者等から水泳授業等における「スタート」に関する意見を聴取し、今後の取扱いについて検討してきました。
その検討結果等を踏まえ、今般、都立学校の水泳授業等における「スタート」の取扱いについて、東京都教育委員会としての今後の方針を下記のとおり定めます。記
- 都立学校の体育の水泳授業や水泳大会などの学校行事において、「スタート」を指導する場合は、事故防止の観点から、平成29年度以降は、原則として水中からの「スタート」とする。
- 自校のプールの構造に留意し、水深の確認及び十分な水量の確保など、学習環境の整備を確実に行う。
- 安全を最優先し、3年間を見通した系統的な水泳の指導計画を保健体育科全教員で作成するとともに、授業実施に当たっては、共通理解の下、保健体育科としての組織的な指導を進める。
- プールを使用した学校行事の集団演技等を行う場合は、生徒が危険な行為を行うことがないよう、安全確保について全教職員の共通理解の下、指導の徹底を図る。
- 水泳部において飛び込みによるスタート練習が必要な場合は、必ず顧問教諭、又は部活動の指導業務を委嘱した外部指導員の指導の下で、段階的な指導を行う。
その際、初心者だけでなく一定の技能を身に付けている生徒においても事故の可能性があることに留意し、安全に入水する姿勢と水中動作等について生徒が十分に理解できるよう指導する。<問合せ先>
教育庁指導部指導企画課
学校における水泳指導について
現在、水泳の授業はどのように教えられているのでしょうか。息子の事故を経験し私たち家族は学校で教えられている体育についても関心を持ちました。
教育委員会に電話をして授業についての内容を聞きました。
電話をした教育委員会では、今年の夏休みにいじめで川で溺れ亡くなった事件があったので、夏休み中に各学校に連絡をしたと聞きました。
学校のプールの時間は年間3時間程度しかありません。体育の時間にやります、3コースに分けて泳げない、少したら泳げる、25メートル以上泳げるコースに分けていますが、どの生徒が、どの位泳げるのか、泳げないのかについての評価の記録などについては書いていません。
私たち家族はこの先、成績表に記録を書いて欲しいとお願いをしました。教育委員会の担当者の方は、今後も引き継ぎ、海は危険な場所の認識を各学校の教師、生徒、保護者に伝え対策をしますと言ってくれました。
文部科学省の水泳指導について
文部科学省が発行した「学校体育実技指導資料第4集 水泳指導の手引(三丁版)」をHPで見ることができます。
ここでは学年別での水泳指導要綱がまとめて書かれており、実際の学校指導のベースになっていると思います。飛び込み事故を受け来年2017年より都立学校では原則として授業での飛び込みが禁止となるようです。ただし、部活動は 指導者の判断で飛び込みは許可されています。
神奈川県は飛び込み指導の規制は現在のところ無いようです。
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